EPA・DHAサプリを買ってから調べてみた ― 効果とリスク、品質の見分け方、そして魚という結論

栄養
サプリと魚を比較しているイラスト
YouTubeのショート動画をきっかけにEPA・DHAのサプリを買ったものの、あとから否定的な情報を知って不安になりました。 そこで効果もリスクも、品質の見分け方も、調べてまとめました。 特定の製品をすすめる記事ではありません。 いいところも悪いところも同じだけ並べて、読んだ人が自分で判断できる材料を置くことを目指しています。

きっかけは、YouTubeのショート動画でした。

EPA・DHAのサプリを飲んだら調子がよくなった、という内容で、見ているうちに自分も試したくなりました。
おすすめされていた製品を調べて、評価の高かったLife Extensionのオメガ3サプリを注文しました。
このとき僕は、いい話ばかりを集めていて、否定的な情報はほとんど見ていませんでした。

届くまでのあいだに、このタイプのサプリがどういうものなのか、改めて動画を見てみました。
すると今度は、効果を疑う声や、品質を心配する意見がずいぶん多く出てきます。
買ったあとになって、少し不安になってきました。

届いた製品を開けてみると、まず粒の大きさに驚きました。
推奨は1回2粒ですが、いきなりはきつそうだったので、しばらく1粒から始めています。
せっかく買ったので、この分はちゃんと飲んでみようと思っています。

シャープペンと1粒の大きさの比較の写真

そういう流れで、僕はEPA・DHAについて調べてみることにしました。
この記事は、その調べた内容をまとめたものです。
効果を持ち上げるためでも、特定の製品をすすめるためでもありません。
いいところも、都合の悪いところも、どちらも同じだけ並べて、読んだ人が自分で判断できる材料を置くことを目指しています。

具体的には、EPA・DHAが体にとって何なのか、
どんな効果が科学的に確かめられていて、
どんなリスクが指摘されているのか、
品質の良くない製品をどう見分けるのか、
そして日本人にとってサプリと魚はどちらがいいのか、
というあたりまでを順番に見ていきます。

僕自身は栄養や医療の専門家ではありません。なので、論文や公的機関の情報をできるだけ確認して、自分の感想と、研究で分かっている事実とを分けて書くようにしました。

Life Extenstion Super Omega-3のパッケージ写真

EPA・DHAとは何でしょうか

EPA・DHAという言葉は、サプリの広告や魚の宣伝でよく見かけます。
正式にはEPAがエイコサペンタエン酸、DHAがドコサヘキサエン酸といって、どちらもオメガ3系脂肪酸という油の仲間です。
青魚の脂に多く含まれていて、サバやイワシ、サンマを思い浮かべてもらうと近いです。

この二つが栄養の世界で特別あつかいされるのには、はっきりした理由があります。
人間の体は、EPAやDHAをほとんど自分で作れません。
本来、体内で作れない脂肪酸として必須脂肪酸と呼ばれるのは、リノール酸やαリノレン酸です。
EPA・DHAはそこから作られるのですが、その変換がとても少ないので、実質的には食べ物やサプリから直接摂りたい脂肪酸だと考えられています。

そのαリノレン酸は、えごま油や亜麻仁油などの植物油に含まれていて、「植物油にもオメガ3が入っている」と言われるのはこのことです。
ただ、さきほど書いたとおり、αリノレン酸を摂っても、体の中でEPAに変わるのは1割もいかず、DHAにいたっては1%ほどしか変換されないと報告されています。
なので、青魚やサプリから直接EPA・DHAを摂るほうが、はるかに効率がいいことになります。

どれくらい摂ればいいのでしょうか

目安の量も整理しておきます。健康な大人であれば、EPAとDHAを合わせて1日250〜500mgくらいが、多くの健康機関が示している基本ラインです。
中性脂肪が高い人や、心臓に不安のある人には、もっと多い1,000〜2,000mg以上がすすめられる場合もあります。

数字だけ見てもピンとこないので、魚に置き換えてみます。
脂ののったサバなら一切れ(約80g)で2,000mg前後、サンマ一尾でも1,500〜2,000mgほど摂れます。
イワシやブリで1,000〜1,500mg、サケの切り身で600〜900mg、手軽なツナ缶(水煮)だと1缶200〜300mgくらいです。
青魚をしっかり一食食べれば、基本ラインの250〜500mgはかんたんに超えますし、サバやサンマなら高めの目安にも届きます。

一方で、僕が飲んでいるようなサプリは、1回ぶんでEPA・DHA合わせて1,000mg前後の製品が多いです。
魚を食べる習慣がある人なら、サプリがなくても足りている可能性は十分にあります。

ここで一つ覚えておきたいのは、量が多ければ多いほどいい、という単純な話ではないところです。
高い量には高い量なりの注意点も出てきます。
まずは「健康維持なら1日500mg前後、多くても1,000mg程度」という感覚を持っておくと、このあとの話が読みやすくなります。

確かめられている効果もちゃんとあります

不安な話に入る前に、まず良い面を整理します。
EPA・DHAには、科学的にしっかり確かめられている効果があります。

いちばんはっきりしているのが、中性脂肪を下げる働きです。
これはたくさんの研究で一貫して確認されていて、アメリカの公的機関の資料でも、フィッシュオイルが血液中の中性脂肪を下げることが明記されています。
健康診断で中性脂肪が高めだと言われた人にとっては、意味のある効果です。

心臓や血管の病気についても、対象を選べば有望な結果が出ています。
心臓の病気のリスクが高い人を集めた大規模な研究(REDUCE-IT)では、薬のような高い量のEPAを使ったところ、心臓発作や脳卒中などのリスクが25%ほど下がりました。
これは「足りていない人」や「リスクの高い人」に絞ったときの話ですが、条件が合えばはっきり効く、ということを示しています。

気持ちの面への効果も報告されています。
EPAを主体にしたサプリが、うつの症状をやわらげるのに役立つというメタ解析がいくつもあります。
特にEPAの比率が高い製剤で、1日1,000〜2,000mgくらいの量だと効果が見えやすいようです。
不安の症状についても、改善したという報告があります。

睡眠についても、いくつかの研究で良い影響が出ています。
8つの試験をまとめた解析では、オメガ3を摂ることで睡眠の効率(布団に入っている時間のうち実際に眠れている割合)が少し良くなったという結果が出ています。
寝つきの早さや総睡眠時間までは変わらなかったので、劇的な話ではありませんが、眠りの質という点では一定の後押しがありそうです。

調べてみたら、不安になる話がたくさん出てきました

ここからが、僕が買ったあとに見て不安になった部分です。順番に見ていきます。

健康な人の予防効果は、はっきりしていません

まず知って驚いたのが、「健康な人がEPA・DHAを飲んでも、病気の予防になるとは言い切れない」という研究結果です。

VITAL試験という、アメリカで2万5,000人以上を5年あまり追いかけた大規模な研究があります。
健康な中高年に1日1,000mgのオメガ3を飲んでもらったところ、心臓や血管の病気が全体として減ったとは言えませんでした。
ハーバード大学の医学系のサイトでも、この結果をもとに「フィッシュオイルサプリの約束は当てにならない」という趣旨の記事が出ています。

ただし、この話には続きがあります。
同じ研究をよく見ると、ふだん魚をあまり食べない人のグループでは、心血管のトラブルが2割ほど減っていました。
すでに魚で足りている人には効きにくく、足りていない人には意味がある、という見え方ができます。

量を増やすと、不整脈のリスクが上がるという報告があります

次が、僕がいちばん気になった話です。
EPA・DHAをたくさん摂ると、心房細動という不整脈が増える、という報告がいくつも出ています。

34の試験、合わせて11万人以上のデータをまとめた解析では、薬のような高い量のオメガ3を摂ったグループで、心房細動のリスクが上がっていました。
別の解析では、1日1,000mg以下だと1割ちょっとの増加にとどまるのに対し、1,000mgを超えると5割ほどリスクが上がる、という量との関係も示されています。

おもしろいのは、これがサプリの高い量で見られる話で、魚を食べることで摂るオメガ3ではむしろ不整脈が減る方向だという点です。
同じEPA・DHAでも、魚から少しずつ摂るのと、サプリで一度にたくさん摂るのとでは、体への出方が違うのかもしれません。

市場に出ている製品の半分近くが、酸化しているかもしれません

もう一つ、品質そのものの問題があります。
フィッシュオイルはとても酸化しやすい油です。
酸化した油は、体に良いどころか、かえって良くない働きをする可能性が指摘されています。

ジョージワシントン大学の研究チームが、6年間にわたって72のブランドを調べたところ、調査した製品の約45%が、酸化の基準値を超えていたという結果が出ました。
さらに気になるのが、レモンなどの香りをつけた製品では、酸化したにおいが隠されてしまい、消費者が気づきにくくなるという指摘です。
良かれと思って選んだ飲みやすいフレーバー製品が、かえって酸化を見えにくくしている場合がある、という話です。

この酸化の問題は、実は自分でもある程度見分けられます。
レモンなどの強い香りでごまかしていない製品を選び、開けたときに魚の生臭さや、ペンキのような刺激のあるにおいがしたら避ける、というのが基本です。

では、どう選べばいいのでしょうか

ネガティブな情報を並べてきましたが、裏を返せば、選び方さえ分かれば避けられる問題が多いということです。
ここでは、僕が調べていちばん役に立った「酸化の見分け方」と「認証機関の読み方」を整理します。

酸化を自分で見分ける方法があります

参加していないかの確認イラスト

酸化の問題は、数字とにおいの二つで見分けられます。

まず数字です。
きちんとした製品やメーカーは、油の酸化の程度を示す値を公開していることがあります。
見るべきは三つで、過酸化物価(PV)、アニシジン価(AV)、そしてこの二つを合わせたTOTOX(トータックス)という値です。
業界団体の自主基準では、過酸化物価は5以下、アニシジン価は20以下、TOTOXは26以下が目安とされています。
製品ページや検査結果にこれらの数字が出ていて、基準内に収まっていれば、酸化の心配は少ない製品だと判断できます。

次ににおいです。
新鮮なフィッシュオイルは、本来それほど生臭くありません。
カプセルを一粒噛んでみて、強い生臭さや、ペンキやシンナーのような刺激のあるにおい、苦い後味があれば、酸化しているサインです。
ここで注意したいのが、レモンや柑橘の香りをつけた製品です。
飲みやすくする工夫なのですが、酸化したにおいまで隠してしまうため、消費者が気づきにくくなります。
香りでごまかしていない製品のほうが、自分の鼻で確かめられるぶん安心とも言えます。

買ったあとにできることもあります。
フィッシュオイルは光と熱と空気で酸化が進むので、大容量より小さいボトルを選び、開けたら冷蔵庫で保管して、賞味期限を守る。
これだけでも酸化のリスクはだいぶ減らせます。

品質を保証する認証機関を知っておくと、選びやすくなります

製品の質を見分けるもう一つの手がかりが、第三者機関の認証です。
サプリの世界にはいくつもの認証機関があって、それぞれ役割が違います。
どれだけの種類があって、何をしている機関なのかを整理しておきます。

大きく分けると、品質や安全性を調べる機関と、漁業の持続可能性を調べる機関の二つの系統があります。

品質・安全性を調べる主な機関は、次のとおりです。

IFOS(国際フィッシュオイル基準) は、フィッシュオイルに特化した認証です。
カナダの試験機関が2004年から運営していて、EPA・DHAの含有量、重金属、酸化値などを調べ、5段階の星で評価します。
いちばんの特徴は、ブランド名やロット番号を入力すると、その製造ロットの検査結果を誰でも無料で見られる点です。
メーカーが検査費を払う仕組みですが、結果を全部公開しているので透明性が高い機関です。

GOED は、オメガ3業界の団体です。
世界中のメーカー約200社が加盟していて、加盟企業は団体が定めた品質基準を守ることが求められます。
業界団体なので「オメガ3をもっと広めたい」という立場ではありますが、自主基準を作ったことで業界全体の酸化品質が底上げされた、という功績もあります。

USP(米国薬局方) は、医薬品の基準を作っている非営利の団体です。
サプリについても、表示どおりの成分が入っているか、汚染物質がないか、製造工程が一貫しているかを検証します。
魚油にかぎらず、サプリ全般を対象にしています。

NSF は、公衆衛生にかかわる非営利の認証機関です。
成分や汚染物質のチェックに加えて、製造施設の監査も行います。
スポーツ選手向けに、禁止薬物が入っていないかを調べる認証(NSF Certified for Sport)も有名です。

ConsumerLab は、独立した消費者向けの試験機関です。
ほかと大きく違うのは、メーカーから検体を受け取るのではなく、店頭で普通に売られている製品を自分たちで買ってきて調べる点です。
運営は読者の購読料でまかなわれていて、メーカーからお金を取らないぶん、立場が中立になりやすい機関です。

こうして並べてみると、認証機関にもいろいろな立場があることが見えてきます。
メーカーがお金を払って受ける認証は、裏を返せば「お金を払って検査を受けようと判断した、品質に自信のあるメーカーだ」という意味でもあります。
ただ同時に、認証を受けるかどうかはメーカーしだいなので、良い製品でも認証を取っていないことはありますし、認証があるからといって中身を見ずに信頼しきってしまうのも危うい話です。
業界団体が定めた基準にしても、品質を底上げした功績がある一方で、その団体は「オメガ3をもっと広めたい」という立場でもあります。
どの認証も、あれば一つの安心材料にはなりますが、最後は公開された数字を自分の目で確かめるのがいちばん確実だと、僕は調べていて感じました。

漁業の持続可能性を調べる系統には、MSC(海洋管理協議会)Friend of the Sea があります。
これらは魚を獲る環境や資源管理に問題がないかを認証するもので、油の品質や安全性そのものを保証するわけではありません。
書類の審査が中心で、製品そのものを分析するIFOSなどとは性格が違います。
安全性の認証と持続可能性の認証は別物だと分けて考えると、ラベルのマークに惑わされずにすみます。

ここで一つ覚えておくと便利なのが、お金の流れによって機関の立場が変わる、ということです。
IFOS・USP・NSFはメーカーが検査費を払って認証を受ける仕組みで、ConsumerLabは消費者が購読料を払って店頭の製品を調べる仕組みです。
どちらが良い悪いではなく、性格が違うと知っておくと、認証マークの意味を冷静に読めます。

日本には、こうした認証はあるのでしょうか

ここまで挙げてきた認証機関は、すべて海外のものです。
では日本に同じような仕組みがあるのかというと、形は違いますが、いくつかあります。

まず、国の制度があります。
よく目にするのが「特定保健用食品(トクホ)」と「機能性表示食品」です。
この二つは似ているようで違います。
トクホは、国が有効性と安全性を審査して許可するものです。
一方、機能性表示食品は、事業者が自分で科学的な根拠を国に届け出る仕組みで、国がお墨付きを与えたものではありません。
実際、機能性表示食品のパッケージには「機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません」と書かれています。
僕が飲んでいるLife Extensionは海外製品なのでどちらでもありませんが、日本で売られているネイチャーメイドのフィッシュオイルは、この機能性表示食品にあたります。

民間の認証もあります。
日本健康・栄養食品協会という団体が、工場の製造管理を審査する「GMP認定」や、製品の規格を満たすことを示す「JHFAマーク」を運用しています。
ただ、ここが海外と大きく違うところで、日本にはIFOSのように「この製品のこのロットの酸化の数値はこれです」と、製品ごとに細かく公開する仕組みは、ほとんど広まっていません。
日本で主流なのは、工場がきちんと管理されているかという認定と、事業者の届け出のほうです。

なので、もし日本にいて、酸化の数値まで自分で確かめたいとなると、IFOSの認証を取っている輸入品か、数は少ないですが国内でIFOSを取得している製品を選ぶ、という形になります。

油の形にも種類があります

フィッシュオイルには、油の形に種類があります。
トリグリセリド型(TG型、改良したものはrTG型)とエチルエステル型(EE型)の二つです。

ざっくり言うと、TG型は魚にもともと含まれている自然な形に近く、EE型は濃縮するために加工した形です。
短い期間で比べると、TG型のほうが体への吸収がいいという研究結果が出ています。
報告によって幅はありますが、EE型より2割から、条件によっては倍くらい吸収されやすいとされています。

ただ、ここにも続きがあって、何週間も飲み続けて体になじんでくると、二つの差は小さくなっていく、という見方もあります。
それと、どちらの形でも共通して大事なのが、食事と一緒に飲むことです。
EE型は空腹時だと2割ほどしか吸収されないのに、脂を含む食事と一緒だと6割まで上がる、という実験があります。
形の違いを気にするより、まず食後に飲むほうが効果は大きい、ということです。

3つの製品を比べてみます

3つの製品が並んでいるイラスト

最後に、僕が実際に悩んだ3つの製品を比べます。
僕が選んだLife Extension、よくおすすめに挙がるNordic Naturals、そして日本で手に入りやすいネイチャーメイドの三つです。
どれがいちばん、という話ではなく、性格が違うので、自分に合うものを選ぶための材料として並べます。

比べる点Nordic Naturals Ultimate OmegaLife Extension Super Omega-3ネイチャーメイド スーパーフィッシュオイル
1回の量2粒2粒1粒
EPA・DHA合計約1,280mg約1,200mg約270mg
油の形rTG型(自然な形に近い)濃縮魚油精製魚油
認証第三者試験の結果を公開IFOS5つ星、酸化を防ぐ成分を独自配合機能性表示食品
価格の傾向高め中くらい、コスパは良い安い
強み吸収が良く、魚臭さが少ない品質の数字が公開、含有量も多い安くて手に入りやすい、1粒で済む
弱み値段が張る1日に飲む粒数が多くなりがち量が少なく、粒が大きい

こうして並べると、三つの性格がはっきりします。
Nordic Naturalsは品質と飲みやすさを重視する人向けで、そのぶん値が張ります。
Life Extensionは品質の数字がきちんと公開されていて、含有量も多く、コスパもいいので、しっかり摂りたい人に向いています。
ネイチャーメイドは量こそ少ないものの、ドラッグストアで気軽に買えて値段も手頃なので、まず試してみたい人や続けやすさを優先する人に向いています。

僕がLife Extensionを選んだのは、IFOSの5つ星で品質の数字が公開されていたこと、それと含有量に対して価格が手頃だったことが理由です。
最初はNordic Naturalsもいいなと思ったのですが、続けることを考えると価格が気になりました。
ネイチャーメイドは手軽ですが、1粒で270mgだと、僕が摂りたい量には足りなさそうでした。
ただ、魚をよく食べる人ならネイチャーメイドで十分かもしれませんし、飲みやすさを重視する人にはNordic Naturalsが合っているかもしれません。

ここで大事な前提があります。日本人は、もともと足りているかもしれません

ここまでサプリの話を続けてきましたが、最後に大きな前提を一つ置いておきたいです。
日本人は、そもそもオメガ3が足りている人が多い、ということです。

血液中のEPA・DHAの割合を示すオメガ3指数という数字があります。
健康の目安は8%以上とされていて、欧米の人たちはこれが4〜5%くらいにとどまることが多いのに対し、日本人は魚を食べる習慣のおかげで8〜11%に達しているという調査があります。
VITAL試験で「ふだん魚を食べない人にだけ効果が見えた」という話を思い出すと、もともと足りている日本人の多くは、サプリを足してもあまり変わらない可能性があります。

実際、日本で行われた大きな研究(JELIS)では、高純度のEPAを飲むことで心臓の病気が2割ほど減ったという結果が出ています。
ただこれは、コレステロールが高い人を対象にした研究で、しかも日本人はもともと血中のEPAが欧米人の数倍も高い集団です。
健康な人がそのまま当てはめられる話ではありません。

魚を食べることと、サプリを飲むこと

魚とサプリメントが並んでいるイラスト

では、魚を食べるのとサプリを飲むのとでは、どう違うのでしょうか。

同じ量のEPA・DHAを摂るなら、血液中の数値の上がり方は、魚でもサプリでもほとんど同じだという研究があります。
その一点だけ見れば、サプリでも魚でも変わりません。

ただ、魚には魚にしかない良さがあります。
良質なタンパク質、ビタミンDやB12、セレンといった栄養素が一緒に摂れますし、魚の身そのものにコレステロールを下げる働きがあるという報告もあります。
サケを食べたグループは、サプリのグループより血中のセレンも増えていた、という実験もありました。
EPA・DHAだけを取り出したサプリでは、この「魚まるごとの良さ」は再現できません。

どれくらい食べればいいかという目安もあります。
週に2〜3回、脂ののった魚を食べれば、1日250〜500mgのEPA・DHAに相当して、心臓の病気のリスクが下がると関連づけられています。
魚をあまり食べていなかった若い人が、週2回魚を食べるようにしたら、8週間で血液中のオメガ3指数がしっかり上がった、という研究があります。
このとき上がり方は、サプリを飲んだ場合とほとんど同じでした。
ここで気をつけたいのは、これは「血液中の数値が同じだけ上がった」という話であって、「サプリに健康効果がある」と証明したわけではないところです。
数値が上がることと、それで病気が減ることは、別の問題だからです。
むしろ、魚でも同じだけ数値が上がるのなら、サプリを足さずに魚で摂るという選び方も十分にある、ということになります。

それで、僕はどうするか

調べ終えて、僕の考えはこう落ち着きました。

まず、買ったLife Extensionは、せっかくなので飲みきろうと思っています。
今は1粒だけですが、これは効果を試すというより、買ったものを無駄にしたくないという気持ちのほうが正直なところ大きいです。
1週間ほど飲んでみて、寝起きが少しすっきりした気もしますが、これが本当にサプリのおかげなのか、ただの気のせいなのかは、まだ分かりません。

ただ、調べて変えていこうと思ったことは、これからはもっと魚を食べようということです。
日本人はもともと魚でオメガ3が足りている人が多いこと、魚にはサプリにない栄養がまるごと入っていること、そしてサプリを高い量で摂ると不整脈のリスクという別の心配も出てくること。
これらを並べてみると、サプリに頼る前に、まず魚を食べるという当たり前のところに戻るのが、自分には合っている気がしました。

サプリが悪いという話ではありません。
魚をどうしても食べられない人や、中性脂肪が高くて医師にすすめられた人には、品質のいいサプリは選択肢になります。
その場合でも、酸化していない製品を選んで、食事と一緒に、多すぎない量で飲む、この三つを守るのが、調べてみての僕なりの結論です。
なお、持病があったり薬を飲んでいたりする人が量を増やしたい場合は、自己判断せず、主治医や薬剤師に相談してください。

きれいに「これが正解」と言える話ではありませんでした。
でも、良いところも悪いところも自分で並べてみたことで、人にすすめられるままでなく、自分で選べるようにはなった気がします。
この記事が、同じように迷っている人の、判断の材料になればうれしいです。

参考文献

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  • Yokoyama M, et al. (2007). Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS). The Lancet.
  • O'Keefe EL, et al. (2024). Sea Change for Marine Omega-3s: Atrial Fibrillation Risk. Progress in Cardiovascular Diseases.
  • Jia X, et al. (2021). Fish Oil and Risk of Atrial Fibrillation: A Dose-Response Meta-Analysis. Cardiovascular Drugs and Therapy.
  • Hands J, Frame L, et al. (2023). Oxidation of Marketed Omega-3 Supplements. Journal of Dietary Supplements.(ジョージワシントン大学)
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  • Lawson LD, Hughes BG (1988). Absorption of eicosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid from fish oil triacylglycerols or fish oil ethyl esters. Biochemical and Biophysical Research Communications.
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  • Harris WS, et al. (2018). The Omega-3 Index and risk of coronary heart disease (Japan Public Health Center Study). Atherosclerosis.
  • 厚生労働省(2010). 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項.
  • 厚生労働省(2019). 令和元年 国民健康・栄養調査報告.

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